採用時に候補者の経歴や個人情報を調査する、バックグラウンドチェックを行う企業が増えています。
しかしバックグラウンドチェックとリファレンスチェックとの違いがよく分からない、という人も多いのではないでしょうか。
バックグラウンドチェックとリファレンスチェックとでは、実施の目的や調査方法も異なってきます。
採用時のトラブルを避けるためにも、両者の違いをしっかり理解し、適切な調査を行うのが大切です。
当記事では、バックグラウンドとリファレンスチェックの違い、採用のニーズ応じた調査方法の選び方や注意点などについて解説します。
目次
バックグラウンドチェックとリファレンスチェックの違い
バックグラウンドチェックとは、企業が社員の採用時に候補者の学歴や経歴、信用情報などを調査することを言います。採用時の公平性を保ちつつ、採用リスクを抑えることができます。
リファレンスチェックはバックグラウンドチェックの一種ですが、主に候補者の前の職場での実績や人柄を調査するという点で違いがあります。
項目 | バックグラウンドチェック | リファレンスチェック |
---|---|---|
目的 | 候補者の学歴や経歴、信用情報などを調査し、採用の公平性の担保と採用リスクの軽減を目指す。 | 候補者の前職での評価や実績を調査し、企業への適応性を判断する。 |
調査内容 | 学歴/職歴登記情報借金歴犯罪歴/反社チェック破産歴/民事訴訟歴インターネット/SNS調査 | 人物像実績スキル上司や同僚からの評価 |
情報源 | 公的ベースやSNS、調査会社独自のデータベースなど | 候補者の前職の上司や同僚 |
メリット | 候補者の信頼性を確認でき、企業のリスク回避につながる。 | 候補者の前職での実績や人柄などを把握でき、企業文化への適応性が判断できる。 |
デメリット | 個人情報・プライバシーへの配慮が必須。 | 客観的な情報ではなく、個人の評価がもととなるため、情報が偏る可能性がある。 |
目的
バックグラウンドチェックの目的は、候補者の経歴や個人情報などの背景情報を調査し、採用リスクを軽減させることにあります。
候補者が提出した情報の信頼性を確認すると同時に、犯罪歴や反社会的勢力とのつながりがないかを調べることによって、企業のコンプライアンス遵守に役立ちます。
一方でリファレンスチェックの主な目的は、企業と候補者のマッチングを見極めることにあります。候補者の前の職場での働きぶりや実績を調査することによって、企業への適合性を事前に判断できます。
調査項目・情報源
バックグラウンドチェックは候補者が提出した卒業証明証・資格証明書などのほか、官報や登記情報、SNSやインターネットなどの、一般に公開されている情報を元に調査します。
一方でリファレンスチェックは主に候補者の元同僚や上司に尋ねるという点で、明確な違いがあります。
メリット・デメリット
バックグラウンドチェックは公的な情報を基づいて候補者を評価できるため、面接官の主観的な好みや印象に左右されない、公平な選考が可能です。
一方でセンシティブな情報にアクセスするために、個人情報の取り扱いには細心の注意を払うことが求められます。
候補者の前職の関係者から情報を取得するリファレンスチェックは、より現場に近い生の意見を拾えるため、自社への適応を判断するのに適しています。
しかしリファレンスチェックはその調査方法の特性上、どうしてもバックグラウンドチェックよりも時間や手間がかかる傾向にあります。
どちらを選ぶべき?採用の場面に応じた選び方

バックグラウンドチェックとリファレンスチェックはその目的や手法に違いがあるため、必要に応じて最適な調査方法を選択することが大切です。
バックグラウンドチェックが適したケース
バックグラウンドチェックは候補者が提出した履歴書・エントリーシート、面接時に述べた内容に間違いがないかどうかを調査するため、新入社員の採用時に多く用いられています。
さらに犯罪歴や破産歴、反社会的勢力との関わりの有無も調べられるため、コンプライアンスの観点からも重視されています。
例えば顧客の資産を取り扱う金融・保険業界では、新卒・中途採用問わずに、バックグラウンドチェックを行うのが一般的になりつつあります。
リファレンスチェックが適したケース
リファレンスチェックは候補者の人となりやスキル、働きぶりなどを実際に一緒に働いていた人へ尋ねるため、自社とのマッチングを事前に推し量ることができます。
そのため、特に中途採用者の選考のために用いられています。
調査実施時の注意点

バックグラウンドチェック、リファレンスチェック実施時には共に、次のような点に注意してください。
- 本人の同意を得る:事前に候補者へ調査の目的や範囲、取得する情報について説明し、同意を得なければならない。
- 不必要な情報は収集しない:選考や業務上、必要な情報のみを収集する。
- 調査は内定前に行う:合理的な理由の無い内定取り消しは労働契約法に抵触する恐れがあるため、調査は内定前に行う。
こうした点を怠ると、個人情報保護法などの法律に抵触する可能性もあります。
そのため、調査は自社単独で行うのではなく、専門の調査会社に依頼するのが一般的です。
バックグラウンドチェック・リファレンスチェックともにセンシティブな個人情報を扱うため、ぜひ、専門の調査会社に相談なさってください。
調査会社の選び方

バックグラウンドチェック・リファレンスチェックともに機微な個人情報を扱うため、法律に抵触しないよう、慎重に行わなければなりません。そのため自社で実施するのではなく、専門の調査会社に依頼するのが一般的です。
調査会社に依頼する際には、バックグラウンドチェック、リファレンスチェックをどちらも行っている調査会社に依頼するとよいでしょう。
当記事で解説したように、バックグラウンドチェックとリファレンスチェックにはその目的や調査方法にも大きな違いがあります。そのためニーズに合わせた調査を安全・適切に実施するためには、どちらも行っている方が包括的に調査を行ってくれるため、安心でしょう。
バックグラウンドチェックを行なっていても、リファレンスチェックは実施していないという調査会社も少なくありませんが、当サイトでは、リファレンスチェックも行える調査会社を、調査内容・費用・サポート体制・信頼性などの面から比較しています。
採用のニーズに合った、最適な調査会社を選択するのに、ぜひご利用ください。
まとめ
リファレンスチェックはバックグラウンドチェックの一種ですが、その目的や調査方法に大きな違いがあります。
バックグラウンドチェックは候補者の背景情報を調査することによって、企業の採用リスクを低減しつつ、コンプライアンス遵守にも役立ちます。
一方でリファレンスチェックは対象者の前の職場での実績や働きぶりを元同僚や上司に尋ねることによって、企業とのマッチングを推し量ることができます。
そのため、新入社員の採用時にはバックグラウンドチェック、中途採用にはリファレンスチェックという使い分けも可能です。ニーズに応じた適切な調査を実施するため、そして個人情報の適切な取り扱いのためにも、専門の調査会社に依頼するのが安心です。
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