社員の採用時に、バックグラウンドチェックを実施する企業が増えてきています。 しかしバックグラウンドチェックでの調査は非常にデリケートな情報も扱うため、注意しなければ違法になってしまうケースもございます。
採用担当の方は「実際どこまで調査できるの?」、「バックグラウンドチェックが違法になるのはどんなケース?」、「信用情報も調査することは可能なの?」といったことが気になるのではないでしょうか? 本記事では、バックグラウンドチェックで対象者の情報をどこまで調べられるか、またバックグラウンドチェックで違法になるケース、実施時の注意点、対処方法をそれぞれ解説します。
バックグラウンドチェックの導入を検討している企業・担当者は、ぜひ参考にしてください。
目次
バックグラウンドチェックで信用情報まで調べられる?

バックグラウンドチェックとは、採用時のリスク軽減のために、企業が候補者の個人情報を調査することです。 客観的な情報に基づいて候補者を評価できるため、面接官の主観的な好みや印象に左右されない、公平な選考が可能です。
バックグラウンドチェックでは候補者の様々な情報を調査しますが、その中には信用情報も含まれます。
主に調査する内容は以下の項目になります。
調査項目 | 内容 |
---|---|
学歴・職歴 | 候補者の提出した情報に偽りがないかを調査する。出身校や前の勤務先に確認するほか、必要であれば卒業証明・資格取得の証明書の提出を求める。 |
前職での勤務状況・実績 | 前職の上司や同僚にコンタクトを取り、勤務態度や実績などについて調査する。 |
登記情報 | 法務局で公開されている登記情報をもとに、不動産の所有状況や差し押さえの有無などを調査する。 |
借金歴 | 候補者本人に自身の信用情報を紹介し、その結果を提出してもらうことができる。 |
犯罪歴・反社チェック | 過去に法令違反や犯罪組織との関わりは無いか、不正な金融取引が無かったかなどを調査する。 |
破産歴 | 過去に自己破産や個人再生がある場合は、国が発行する官報で確認できる。 |
民事訴訟歴 | 一般公開されている判決記録や、調査会社独自のデータベースを用いて調査する。 |
インターネット・SNS調査 | 本人のSNSアカウントや周辺情報から、個人の人となりを調査する。 |
このようにかなり細かな個人情報を調べることになるため、バックグラウンドチェックを取り入れる企業には、慎重な対応が求められます。
バックグラウンドチェックの注意点

バックグラウンドチェック実施時の注意点について、解説します。
実施前に本人への確認が必要
バックグラウンドを実施するには、候補者に対して調査の目的や範囲、取得する情報について説明し、同意を得なければなりません。 破産歴や民事訴訟歴などの情報も調査可能ですが、業務と直接関係のない情報の取得は、企業にとってリスクともなり得ます。
そのため、事前にどこまでの情報を調査対象とするのかを明確にしておく必要があります。
個人情報保護法の遵守
バックグラウンドチェック自体は違法ではありません。しかし必要な情報のみを取得する、非公開の情報にはアクセスしないなど、個人情報の適切な扱いが求められます。
特に本人の人種、信条、社会的身分、病歴、犯罪の経歴などは「要配慮個人情報」と指定されており、取得や第三者への提供には本人の同意が必要です。
バックグラウンド実施の際には、個人情報保護法の範囲内で、適切に情報を取り扱わなくてはなりません。
参考:「要配慮個人情報とはどのようなものを指しますか。また「要配慮個人情報」にかかる留意点は何でしょうか。」
バッググラウンドチェックを断られたら?
バックグラウンドチェックには本人の同意が必須であるため、候補者が断ることも可能です。
しかしその場合は、本人が提出した情報や経歴などに疑義が生じることになります。
取得する情報が適切なものであり、候補者に何も後ろめたいことがないのであれば、バックグラウンドチェックを断る大きな理由は無いはずだからです。
バックグラウンドチェックは選考の公平性やコンプライアンスを守るためにも必要であるため、断る候補者に対しては採用を見送るなどの慎重な判断が求められます。
バックグラウンドチェックが違法となるケース
バックグラウンドチェック実施時にどのような行為が法律に抵触するか、解説します。
同意なしの調査
バックグラウンドチェックで調べる情報は「要配慮個人情報」として定義されており、本人の同意なく調査した場合には個人情報保護法に抵触する可能性があります。
第27条(第三者提供の制限):個人情報取扱事業者は、次に掲げる場合を除くほか、あらかじめ本人の同意を得ないで、個人データを第三者に提供してはならない
不必要な情報収集
バックグラウンドチェック実施時には、選考に無関係の情報や、業務上不必要な情報を収集することは原則として認められていません。
第5条の5(求職者等の個人情報の取扱い):その業務の目的の達成に必要な範囲内で、厚生労働省令で定めるところにより、当該目的を明らかにして求職者等の個人情報を収集し、並びに当該収集の目的の範囲内でこれを保管し、及び使用しなければならない。
バックグラウンドチェック後の内定取り消し
バックグラウンドチェックの結果を受けて、内定を取り消したいと考えることもあるかもしれません。
しかし内定は、労働契約が成立している状態と裁判所で判断されています。そのためバックグラウンド後の内定取り消しは、解雇と同様に扱われることになります。
第16条(解雇):解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。
信頼できる調査会社の選び方

バックグラウンドチェックは機微な個人情報を扱うため、法律に抵触しないように慎重に行う必要があります。そのためバックグラウンドチェックの実施に際しては、自社内で行うのではなく、専門の調査会社に依頼するのをおすすめします。
また調査会社を依頼する場合には、調査時のリスク回避のためにも、豊富な実績がある会社に依頼なさってください。
例えば、業務上不必要な情報を入手することは法律に抵触する可能性がありますが、コンプライアンスの意識が低い調査会社では、そうした情報も独断で入手してしまうかもしれません。そのような場合でも、調査を依頼した企業に委託管理責任が問われるため、意図せずに違法行為に加担してしまうこともありえます。
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まとめ
バックグラウンドチェックは公平な選考を担保し、コンプライアンスの観点からその重要性が一層高まるでしょう。
しかしバックグラウンド実施には個人情報保護法などの法律に抵触しないよう、慎重な対応が求められます。
調査のリスクを避け、必要な情報のみを漏れなく入手するためにも、信用できる大手の調査会社に依頼するのが安心です。
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