履歴書で経歴詐称を見極める!採用担当者が注意すべき点を解説
履歴書で経歴詐称を見極める!採用担当者が注意すべき点を解説

履歴書で経歴詐称を見極める!採用担当者が注意すべき点を解説

履歴書での経歴詐称は年々増加傾向にあります。応募要件を満たすために経験年数や資格を誇張する応募者も少なくありません。採用担当者が確認を怠ると、プロジェクトの遅延や顧客離れといった重大な損失につながる可能性があります

本記事では、経歴詐称の実態と企業が抱えるリスクを整理したうえで、履歴書で狙われやすい項目を提示します。さらに、詐称を見抜くための実践的なテクニックと、外部バックグラウンドチェックの効果的な活用法を体系的に解説します。独自に調査したITエンジニアの事例も交えながら、具体的な損害額と対策をご紹介します

経歴詐称とは?採用担当者が知るべき基礎知識

応募者が経歴を詐称する理由とその実態

経歴詐称とは、履歴書や職務経歴書に意図的な虚偽情報を記載したり、重要な事実を隠したりする行為を指します。採用条件を満たしているように見せかけることが主な目的です

経歴詐称が起こる主な理由として、以下のような動機が挙げられます。内定獲得競争の激化により、特にIT・デジタル職種において詐称が目立つようになっています。報酬交渉を有利に進めるために年収を水増しするケースも少なくありません。また、短期離職や解雇歴を隠して職歴の見栄えを良くしたり、職種転換時にスキルを誇張したりする事例も確認されています。学歴コンプレックスから最終学歴を偽る応募者も存在します

日本労働研究機構の調査によると、採用時の虚偽申告は全業種平均で約15%の企業が経験しているという結果が出ています。

さらに、人材サービス大手の調査では、書類選考段階での誇張や虚偽が面接で発覚するケースは全体の10%程度にとどまることが明らかになっています。つまり、詐称の多くは書類審査を通過し、面接での深掘りがなければ露見しにくいといえるでしょう

経歴詐称が発覚した場合の企業リスク

経歴詐称が後日判明した場合、企業は大きく5つの損害を被る可能性があります。

  • プロジェクト遅延によるリスク

スキル不足により開発スケジュールの見直しが必要となり、納期遅延による違約金が発生します。実際の事例では、30日の納期遅延で500万円の損害が発生したケースも報告されています

  • 教育・フォロー工数の増加

想定していたスキルレベルに達していない社員のフォローに、先輩社員の時間が大幅に割かれることになります。リーダークラス2名が週10時間ずつフォローに費やした場合、本来の開発業務に支障をきたします

  • 顧客からの信頼失墜

プロジェクトの品質低下により、顧客からの信頼を失い、追加案件の失注につながります。年間1,200万円規模の案件を失った事例も存在します

  • 再採用にかかるコスト

経歴詐称者の退職後、新たな人材を採用する必要が生じます。求人広告費や人材紹介料が二重に発生し、200万円以上の追加コストとなるケースもあります

  • 法的リスクと損害賠償

「過失採用(Negligent Hiring)」という概念があります。これは、企業が十分な確認を行わずに採用した結果、第三者に損害を与えた場合に問われる責任のことです。アメリカでは一般的な概念ですが、日本でも企業の採用責任が問われるケースが増えています

労働法専門の弁護士事務所によると、採用時の確認不足が原因で発生した損害について、企業側に賠償責任が認められた判例では、数百万円から1,000万円規模の支払いが命じられたケースも存在します。

実例:履歴書では見抜けなかったITエンジニアの経歴詐称

実際にあった事例をご紹介します。この事例は、書類選考や面接では見抜けなかった経歴詐称が、入社後すぐに発覚したケースです

応募書類には「フルスタックエンジニアとして5年の経験」「クラウド環境の設計から運用保守まで一貫して担当」と記載されていました。GitHubのリンクも提示され、豊富なコード例が確認できたため、面接官は高い技術力を期待していました。

しかし、入社わずか3日目で深刻なスキル不足が明らかになりました

時点 発生した事象 実際の問題点
採用前 書類・面接を通過 採用基準を満たすと判断
入社1日目 開発環境構築に着手 Dockerの基本概念を理解できず構築失敗
入社3日目 Git運用を開始 pushコマンドが使えず、履歴を破損
調査実施後 経歴詐称が判明 実際は3カ月の経験のみ、GitHubはforkしたコード、保有資格なし

この事例により発生した損害は以下のとおりです。プロジェクトの納期が予定の60日から90日へと1.5倍に延長されました。急遽外部エンジニアを採用する必要が生じ、450万円の追加費用が発生しました。プロジェクトリーダーの残業時間は月40時間増加し、労務管理上の問題も生じました。さらに、納期遅延により顧客の信頼を失い、1,200万円規模の追加案件を失注する結果となりました

この事例から学べる教訓は、採用時点で実技テストと第三者による調査を組み合わせていれば、このような損害を回避できた可能性が高いということです。

履歴書で詐称されやすい主な項目

学歴・資格の詐称

学歴や資格は、履歴書で最も詐称されやすい項目の一つです。

よく見られる詐称パターン
  • 卒業見込みの状態を「卒業済み」として記載
  • 通信制短期大学を「四年制大学卒業」と偽る
  • IT業界では「Oracle Java Gold」「AWS Solutions Architect Associate」などの高度な資格を実際には取得していないにもかかわらず保有していると記載

確認手順と対策

学歴の確認には、卒業証明書または成績証明書の提出を求めることが効果的です。発行から3カ月以内のものを指定することで、最新の情報を確認できます。

資格については、認定番号や資格IDを確認し、発行元の公式サイトで照会することが重要です。TOEICなどの語学試験については、公式認定書のPDFファイルを提出してもらうことで真偽を確認できます。

人事労務研究所の調査によると、証明書提出を義務付けている企業では、学歴・資格詐称の発生率が約70%低下することが報告されています。

職歴の詐称

職歴の詐称も頻繁に発生する問題です。在籍期間の水増しや雇用形態の偽装が代表的なパターンといえるでしょう

主な詐称手口
  • 3カ月の在籍期間を3年と大幅に誇張
  • アルバイトや契約社員としての勤務を正社員経験として記載
  • SES(システムエンジニアリングサービス)での客先常駐を「自社開発経験」と偽る

効果的な確認方法

雇用保険被保険者証により、直前の事業所名と加入期間を確認できます。退職証明書を取得することで、正確な雇用形態と役職を把握することが可能です。また、リファレンスチェックを実施し、前職の上司や同僚から在籍期間と業務内容を確認することも有効な手段といえるでしょう

年収・評価の詐称

年収の水増しは、転職時の給与交渉を有利に進めるために行われる詐称です。

典型的な詐称パターン
  • 前職の年収を実際の1.5倍程度に申告
  • 人事評価のランクを一段階上げて記載
  • 営業職などでは、インセンティブ報酬を含めた最高月収を12倍して年収として申告

確実な確認方法

源泉徴収票の提出により、前年の正確な年収を確認できます。直近3カ月分の給与明細を確認することで、基本給と各種手当の内訳を把握できます。可能であれば、前職での評価通知書や査定結果の写しを提出してもらうことも検討すべきでしょう

その他の詐称(不利な情報の隠蔽)

応募者にとって不利な情報を意図的に隠すケースも、広義の経歴詐称に該当します。

隠蔽されやすい情報
  • 長期休職歴や精神疾患の既往歴を申告しない
  • 懲戒処分を受けた経歴を隠す
  • 反社会的勢力との関係や犯罪歴を隠蔽

リスクを回避する確認手順

健康状態については、労務提供に支障がないかを確認する告知書の提出を求めることができます。ただし、プライバシーに配慮し、業務遂行に必要な範囲での確認に留める必要があります。

懲戒処分歴については、リファレンスチェックの際に前職の人事部門に確認することが可能です。反社会的勢力との関係や犯罪歴については、専門の調査会社によるデータベース照会を実施することで、リスクを最小限に抑えることができるでしょう

段階別にチェックすることが重要

履歴書の確認から最終内定まで、段階的にチェックを実施することで、経歴詐称のリスクを大幅に低減できます。書類精査、証明書確認、面接での深掘り、実技テスト、リファレンスチェック、Web調査という6つの防御層を設けることで、見落としリスクを最小化することが可能です。

履歴書と職務経歴書の内容精査と矛盾点チェック

最初のフィルターとして、提出された書類内の矛盾を洗い出すことが重要です。この段階で違和感を把握できれば、次の選考プロセスで重点的に確認すべきポイントが明確になります。

効果的な精査手順

まず、年月表記を西暦に統一することで、時系列の矛盾を発見しやすくなります。在籍期間、プロジェクト期間、昇進時期などを時系列で整理し、重複や空白期間がないかを確認します。

職務内容とプロジェクト規模の整合性も重要なチェックポイントです。「実務経験5年」と記載があるにもかかわらず、具体的なプロジェクト経歴が2〜3件しか記載されていない場合は注意が必要でしょう

最近では、AI-OCRやRPAツールを活用して書類をデータ化し、矛盾点を自動的に抽出する企業も増えています。これにより、人的ミスを減らしながら効率的な確認が可能となります。

公的証明書の提出による事実確認

履歴書の記載内容を第三者発行の公式書類で裏付けることは、詐称防止の基本といえるでしょう。

証明対象 必要な書類 確認すべきポイント
最終学歴 卒業証明書(3カ月以内発行) 学校名、学部学科、卒業年月日
保有資格 資格証明書、認定証 資格名、認定番号、有効期限
前職在籍 退職証明書 企業名、雇用形態、役職、在籍期間
年収 源泉徴収票 支払金額、社会保険料、源泉徴収税額

証明書の提出は内定前の段階で求めることが重要です。提出期限を明確に設定し、期限内に提出できない場合は選考を保留とする旨を事前に伝えておくことで、スムーズな運用が可能となります。

クラウド上の書類提出サービスを活用すれば、個人情報の管理とスピーディーな確認を両立できるでしょう

面接での深掘り質問による検証

面接では、書類に記載された経験を具体的に説明してもらうことで、詐称の有無を判断できます。

  • ITエンジニアの場合の質問例

プロジェクトの要件定義段階について質問する際は、「主要なステークホルダーは誰でしたか」「要件の優先順位はどのように決定しましたか」といった具体的な質問が効果的です。関係者の役割を即答できない場合は、実際の経験が乏しい可能性があります

  • 設計フェーズ

「採用したフレームワークとその選定理由を教えてください」「アーキテクチャ設計で最も苦労した点は何ですか」といった技術的な判断基準を問う質問が有効です。

  • 開発フェーズ

「CI/CDパイプラインの構築で工夫した点を教えてください」「コードレビューで指摘された内容と、どのように改善したか具体例を挙げてください」など、実装の詳細を確認します。

STAR法(Situation・Task・Action・Result)を用いて回答を求めることで、抽象的な回答を防ぎ、具体的な経験を引き出すことができるでしょう

実技課題・スキルテストの実施

書類や面接だけでは判断しきれない実務能力を、実技課題で直接確認することは非常に効果的です。

  • 効果的な実技テストの例

コーディングテストでは、実務で使用する言語での課題を90分程度で解いてもらいます。既存のコーディングテストサービスを利用することで、公平な評価が可能となります

  • リファクタリング課題

意図的に品質の低いコードを提示し、1時間程度で改善してもらいます。改善後には、なぜそのような修正を行ったのか、設計思想を説明してもらうことで、実力を総合的に判断できます

  • ペアプログラミング形式

面接官と一緒に簡単な機能を実装してもらう方法も効果的です。リアルタイムでの思考過程や問題解決能力を確認できるため、経験の有無が明確になります

コピー防止のための工夫

提出されたソースコードは、静的解析ツールを使用して既存のリポジトリとの類似度を確認します。オンラインIDE上でライブコーディングを実施し、画面共有しながら進めることで、不正を防ぐことができるでしょう

リファレンスチェックの活用

前職の上司や同僚から客観的な情報を得ることで、履歴書の内容との整合性を確認できます。

リファレンスチェックの実施手順

まず、応募者本人から同意書を取得します。個人情報保護の観点から、この手続きは必須といえるでしょう。次に、リファレンス先に質問票を送付します。在籍期間、担当業務、勤務態度、再雇用の意思などを確認します。可能であれば、電話でのヒアリングも実施し、文書では伝わりにくいニュアンスも把握します

外部サービスの活用

リファレンスチェックを専門とする外部サービスも増えています。1件あたり1万円から3万円程度の費用で、プロフェッショナルな調査を実施できます。採用後のリスクを考慮すれば、十分に投資価値のあるサービスといえるでしょう。

SNS・ネット上の情報調査

公開されている情報から、職務実績の裏付けや潜在的なリスクを確認することも重要です。

  • 主なチェック対象と確認ポイント

GitHubでは、コミット履歴とコントリビューション内容を確認します。フォークしただけのリポジトリを自作と偽っていないか注意が必要です

  • LinkedIn

職歴の記載内容と履歴書との整合性を確認します。推薦文やスキルの承認状況も参考になるでしょう

  • X(旧Twitter)やQiita

機密情報の漏洩や不適切な発言がないかを確認します。技術記事の投稿内容から、実際のスキルレベルを推測することも可能です


法的リスクをしっかりと考慮しましょう

調査範囲は業務に関連する公開情報に限定する必要があります。個人の思想信条や私生活に関する情報を理由に不採用とすることは避けるべきです。あくまでも労務提供上のリスクの有無を確認することが目的であることを忘れてはいけません

バックグラウンドチェックを外部に依頼するメリット

専門機関による徹底調査で採用ミスを防止

バックグラウンドチェックとは、第三者の専門機関が候補者の経歴を多角的に検証するサービスです。学歴、職歴、資格、犯罪歴、信用情報など、企業が独自に調査することが困難な項目まで網羅的に確認できます。

専門機関は在籍確認、資格照合、SNS解析、反社チェックなど200項目以上のチェックポイントを設けています。独自のデータベースや調査ネットワークを活用することで、高い精度での検証が可能となります。

人材コンサルティング会社の調査によると、外部のバックグラウンドチェックを活用している企業では、採用後1年以内の早期離職率が平均38%低下したという結果が報告されています。

調査報告書では、確認した事実と確認方法が明確に記載されるため、採用決定の根拠として活用できます。複数の面接官で評価が分かれた場合でも、客観的なデータに基づいて判断できるため、採用の透明性と公平性が向上するでしょう

自社では難しい調査の効率化と信頼性向上

採用担当者が独力ですべての項目を確認することは、時間的にも専門知識的にも限界があります。外部サービスを活用することで、大幅な効率化が可能となります

  • 主な効率化のメリット

調査工数の削減効果は顕著です。1名あたり平均6時間かかっていた確認作業を、1時間未満に短縮できます。これにより、採用担当者は面接や選考により多くの時間を割くことが可能となります。

  • 調査精度の向上

専門機関は独自のデータベースや調査手法を持っているため、一般企業では発見困難な情報も確認できます。詐称発覚率を大幅に低減することが可能です

  • 法的リスクの低減

個人情報保護法や職業安定法などの関連法規に精通した専門家が調査を行うため、コンプライアンス面での安心感があります。

  • レピュテーション維持

万が一、採用後に問題が発生した場合でも、適切な調査を実施していたことを対外的に説明できるため、企業の信頼性を保つことができるでしょう

サービス選定のポイント

バックグラウンドチェックサービスを選ぶ際は、調査項目の網羅性、納期、価格、実績などを総合的に評価することが重要です。自社の採用ニーズに合わせて、最適なサービスを選択することで、費用対効果の高い運用が可能となります。

まとめ

本記事では、ITエンジニアの経歴詐称事例を起点として、書類精査から外部調査まで、多層的な防御策をご紹介しました。経歴詐称は企業に深刻な損害をもたらす可能性がありますが、適切な対策を講じることで、そのリスクを大幅に低減できます

採用リスクを低減する5つのステップ
  • 書類の整合性確認:AI-OCRなどのツールを活用し、履歴書と職務経歴書の矛盾点を効率的に抽出
  • 証明書による裏付けを徹底:学歴証明書、資格認定証、退職証明書などの公的書類により記載内容の真偽を確認
  • 面接での深掘り質問を実施:STAR法を用いて具体的な経験を引き出し、詐称の有無を判断
  • 実技テストとリファレンスチェックを組み合わせ:実務能力と第三者評価の両面から応募者の実力を客観的に評価
  • 外部のバックグラウンドチェックサービスを活用:専門機関による網羅的な調査により隠れたリスクを事前に発見

採用プロセスにおいて違和感を覚えた際は、その直感を大切にすることが重要です。確認作業を後回しにせず、疑問点はその都度解消していくことで、採用の失敗を防ぐことができるでしょう。第三者の視点を積極的に取り入れることで、より客観的で質の高い採用判断が可能となります

信頼できる人材の採用は、企業の持続的な成長に不可欠です。本記事でご紹介した手法を参考に、自社に最適な採用プロセスを構築していただければ幸いです。

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