身辺調査ってどうやって調べる?調べ方を解説
身辺調査ってどうやって調べる?調べ方を解説

身辺調査ってどうやって調べる?調べ方を解説

採用の最終段階で迷いや不安を減らすために、身辺調査の調べ方を体系的に整理しました。ここで扱う「身辺調査」とは、応募者の学歴・職歴・資格など事実関係の確認と、採用に関連するコンプライアンス上のリスク確認を、本人の同意にもとづき公正・適法に行う取り組みを指します。
探偵的な尾行や私生活の監視ではなく、採用判断に必要な範囲で適法・公平に事実を確認することが目的です。

身辺調査とは?採用文脈での定義と目的

身辺調査」とは、応募者の経歴・資格・実績などを適法に裏付け、採用の可否判断に必要な最低限の情報を整える行為です。採用の現場では「バックグラウンドチェック」とも呼ばれます。
目的は、経歴詐称の抑止や反社会的勢力との関係の有無、情報漏えい・ハラスメントといったリスク兆候の把握により、企業と応募者双方の不利益を未然に防ぐ点にあります。

一方で、「本人に責任のない事項」や「本来自由であるべき事項」を採用基準にしないことが求められます。たとえば本籍地や家族の職業、宗教・支持政党などは職務適性と無関係であるため評価対象から外すのが原則です。
これらは就職差別につながるおそれがあるため、質問や収集を避け、面接・書類でも扱わない方針を明確にしましょう。

また、「要配慮個人情報」の取り扱いには特に注意が必要です。健康情報や犯罪の経歴などは、原則として明確な本人同意が必要であり、第三者提供には厳格な制限があります。
漏えい時の報告や本人通知、保存期間・廃棄手順まで社内規程に沿って厳格に管理してください。

身辺調査 調べ方の全体像

  • 方針と範囲の決定

職種ごとに「確認項目」と「判断基準(合否への影響の有無)」を文書化し、取得禁止・同意必須・任意の項目を区分します。
採否に直結する評価指標を先に定めることで、主観や思い込みを避け、判断の再現性が高まります。

  • 候補者への告知と同意取得

「収集目的」「確認項目」「利用範囲」「保存期間」を明示し、文書で同意を得ます。同意は撤回可能である旨と、撤回時の取り扱いも明記します。
同意の透明性を高めることにより、信頼を損なわずに必要な確認が行えます。

  • 収集(必要最小限)と証跡化

公開情報、資格登録、リファレンス、SNS(公開範囲のみ)など適法な手段で収集し、スクリーンショットや出典URLを残すなど出所の明確化に努めます。
必要最小限の収集と証跡化により、個人情報保護と意思決定の説明責任を両立できます。

  • 評価と記録管理

「職務適合性」「コンプライアンス」「リスク兆候」でスコアリングし、主観の偏りを抑えるため二名以上でレビューします。
評価軸の明確化と複数人レビューは、採用の公平性と一貫性の向上につながります。

  • 最終判断と通知

懸念がある場合は本人ヒアリングで事実確認を行い、合理的に判断します。不採用理由は「能力・適性」に限定し、差別につながる事項は根拠にしません。
判断過程を文書で残すことで、後日の照会や苦情対応にも備えられます。

自社でできる身辺調査の調べ方

1)公開情報・公的データベースの確認

公開情報」とは、官報・裁判所公告・各種資格登録簿・法人登記・行政発表など、一般にアクセス可能な情報のことです。採用では、応募書類と資格・免許の登録情報の整合性や、対外的に公表されている受賞・登壇等の実績の有無を確認できます。
破産や訴訟など取り扱い注意の情報に触れる際は、同意の範囲と目的外利用の禁止を必ず再確認してください。

2)リファレンスチェック(在籍・評価の裏取り)

リファレンスチェック」とは、前職の上司・同僚・顧客などに、事前合意の質問票で職務遂行能力や協働姿勢を確認する方法です。質問は「事実」「観察可能な行動」「再現性のある強み・改善点」を中心に設計します。
本人の書面同意・質問票共有・回答の証跡保管を徹底し、名誉毀損や個人情報トラブルを回避しましょう。

3)SNS/OSINTの適正活用

OSINT」とは、公開情報からの情報収集の総称です。公開投稿の範囲で、業務関連の発信やコンプライアンス上の懸念(誹謗中傷、機密漏えい)の有無を確認できます。
プライベート領域の詮索や思想・信条に関わる評価は避け、アカウント提出やログイン要求は行わない方針を明確にしてください。

調査項目 推奨手段 合法性の観点 実務のコツ
学歴・資格 公式登録簿・証憑の照合 本人同意の範囲で確認 取得年月・登録番号まで一致確認
職歴・在籍 リファレンスチェック 同意必須、質問は職務限定 具体的行動事例の質問票を用意
コンプラ 公開SNS・ニュース 公正採用の観点で線引き 事実と意見を分けて記録
反社リスク 反社排除方針の同意、専門DB 無断照会は避ける 外部ベンダー活用を検討

外部委託の進め方と選定基準

外部委託が向く場面は次の項目に当てはまり場合です。

  • 管理職や経理・情報系など職務リスクが高いポジション
  • 海外の学歴・職歴の裏取りが必要な場合
  • 採用数が増え、社内の処理がひっ迫している場合

また外部委託を進める際は次のような観点で複数社を比較し、選定すると良いでしょう。

選定基準(チェックリスト)
  • 適法性・倫理:取得項目、同意取得、差別防止方針が文書化
  • セキュリティ体制:権限管理・ログ・暗号化、認証の有無
  • 調査範囲・品質:国内外の照会可否、反社・法規制対応、実績
  • レポート:事実ベース、出典明記、証跡付き
  • 納期や品質の取り決め:遅延時対応・問い合わせ窓口・再調査条件
  • 価格:件数割引、定額、追加費用の条件

依頼内容をまとめた仕様書(目的・調査範囲・納期・費用・秘密保持・再調査条件)を事前に文書で取り交わし、データの取り扱いに関する取り決め(再委託の可否、海外へのデータ移転の有無)を契約書に明記すると良いでしょう。
サンプルレポートで品質を確認し、表記方法や証跡の付け方を事前にすり合わせると運用が安定します。

法的留意点、違法調査を避けるために

1)収集・評価してはならない事項

職務適性と無関係な事項(「本籍地」「家族の職業」「宗教・支持政党」など)を採用基準にしない方針を徹底します。履歴書・面接でこれらを把握したり、作文の題材にすることは避けましょう。
不適切な質問を排除するチェックリストを面接官研修に組み込み、運用を標準化してください。

2)要配慮個人情報の同意と運用

要配慮個人情報」の取得・第三者提供には本人の明確な同意が必要で、オプトアウト提供は不可です。漏えい時の報告・本人通知や、保存期間・廃棄手順を社内規程に明記します。
アクセス権限の最小化とログ管理を徹底し、取り扱いを記録に残すことが重要です。

3)取得方法の適正

「偽りその他の不正な手段」による取得は行いません。なりすまし、隠し録音、プライベートアカウントの閲覧要求などは不可です。
利用目的の特定・目的外利用の禁止・正確性の確保・保存期間の設定と廃棄までを手順書に落とし込みましょう。

4)反社会的勢力への対応

暴力団等との関係遮断は企業の基本方針です。採用では、反社排除方針への同意や、必要に応じて専門データベースでの確認を検討します。
裏取引を避け、疑いがあれば毅然と対応する体制を整えてください。

5)内定判断とトラブル回避

懸念がある場合は事実関係の再確認と本人の弁明機会を設け、合理的に判断します。内定取消しは職務遂行に重大な支障があると判断される場合に限るのが適当です。
結論だけでなく、基準に照らした判断過程を記録として残すと、説明責任を果たしやすくなります。

区分 取扱いの目安
取得可(同意の範囲内) 学歴・職歴・資格、職務上の実績 目的・最小化・保存期間を明記
同意必須(要配慮) 健康情報、犯罪の経歴 明確な同意、第三者提供の制限
NG(公正採用) 本籍地、家族の職業、宗教・支持政党 等 収集・評価の対象にしない

期間と費用の目安

期間の目安(1名あたり)
  • 自社実施:〜14営業日(公開情報・リファレンス・SNS確認を並行)
  • 外部委託:〜7営業日(項目・対象国により変動)
  • 併用:自社で基礎確認+一部を外部委託し、短納期と品質の両立を図る

時間がなく、素早く行いたい場合は自社で実施する場合よりもノウハウが溜まっており調査機関が短い外部企業に委託すると良いでしょう。

費用のイメージ(相場観)
  • 自社実施:人件費(1〜3時間/名)+必要ツール費
  • 外部サービス:1名あたり数万円程度(範囲・納期で上下)
  • 探偵的調査:個別案件で高額になりやすく、標準運用には不向き

回避できる損失(早期離職・再採用・教育・機会損失の合計)を年収の一定割合で仮置きし、調査コスト(外部費用+自社工数)と比較すると費用対効果がわかるでしょう。
重要ポジションほど保全効果が高く、一定の調査投資が合理的と考えられます。

サービス比較で最適解を選ぶ

比較軸 自社運用 外部サービス活用
法令適合・倫理 社内規程の設計が必要 取得範囲・同意設計が標準化
調査範囲 限定的になりやすい 国内外・反社等の網羅が可能
品質・再現性 担当者依存 証跡付きレポートで再現性が高い
納期・スケール 採用繁忙で遅延しがち 納期や品質の取り決めがあり安定、件数増にも対応
コスト 低〜中(工数次第) 中〜高(範囲により変動)
選び方のポイント
  • ポジションや情報の機密度に応じて外部に任せる項目を仕分ける
  • デモやサンプルレポートで品質を確認する
  • 納期・品質の取り決め、再調査条件、秘密保持を契約書で明確化する

不安な場合は業者に依頼がおすすめ

本記事では、採用における身辺調査の調べ方を、定義から手順、社内運用・外部委託、法的留意点、期間と費用まで体系的に整理しました。基本は「目的の明確化」「同意と必要最小限」「公正な評価」「記録管理」の四本柱です。
ポジションや採用規模に応じて自社と外部の併用を検討し、標準手順書を整備することで、品質とスピードの両立が期待できますが、不安な場合は外部利用が安全でしょう

当サイトでは身辺調査を含むバックグラウンドチェックを行う企業を複数比較しております。外部に依頼する際の企業選定にぜひ参考にしてください。

参考文献

  • 厚生労働省「公正な採用選考の基本」: https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/newpage_56780.html
  • 厚生労働省「採用選考時の基本的な考え方」: https://kouseisaiyou.mhlw.go.jp/basic.html
  • 個人情報保護委員会「個人情報保護法ガイドライン(通則編)」: https://www.ppc.go.jp/files/pdf/241202_guidelines01.pdf
  • 個人情報保護委員会「Q&A:要配慮個人情報」: https://www.ppc.go.jp/all_faq_index/faq4-q011
  • 法務省「企業が反社会的勢力による被害を防止するための指針」: https://www.moj.go.jp/keiji1/keiji_keiji42.html
  • 厚生労働省(大阪労働局)「就職差別につながるおそれのある不適切な質問の例」: https://jsite.mhlw.go.jp/osaka-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/shokugyou_shoukai/hourei_seido/kosei/futeki.html

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