採用時の身辺調査はどこまで許される?違法性はないか専門家が解説
採用時の身辺調査はどこまで許される?違法性はないか専門家が解説

採用時の身辺調査はどこまで許される?違法性はないか専門家が解説

採用時の身辺調査とは、候補者の経歴や素行に虚偽がないかを確かめるための確認行為を指します。一般的にはバックグラウンドチェック(事実確認)と、リファレンスチェック(前職上司や同僚への評価照会)に大別できます。目的は、経歴詐称や重大なコンプライアンスリスクを見落とさないことにあります。

適正に行えば、採用の質向上やミスマッチの低減につながると考えられます。本文では、違法となるおそれ適法に実施する要点を整理し、外部委託の選択肢まで一気通貫で解説します。以上の点から、人事担当者が実務にそのまま使える手順を提示していきます。

身辺調査(バックグラウンドチェック)とは

バックグラウンドチェックとは、「学歴・職歴・資格」「反社会的勢力との関係」「犯罪歴や破産歴の有無(必要な範囲)」「SNSを含む公開情報の振る舞い」などを、候補者の同意を得たうえで客観的資料に基づき確認する行為です。これに対しリファレンスチェックは、候補者が指定した第三者に仕事ぶりや協働姿勢などを照会する手法です。

前者は「事実の裏取り」に強みがあり、後者は「人物評価」に強みがあるという特徴があります。両者を組み合わせることにより、能力・行動・信頼性の三点から、より立体的な判断が可能です。なお、採用選考は「応募者の適性・能力に基づいて行うべき」とされており、職務関連性を外れた調査は避ける必要があります。公的指針でも、本人に責任のない事項や思想信条などを採用基準にしない考え方が明示されています。

※参照元:厚生労働省「公正な採用選考の基本」

経歴詐称を防ぐ!採用で調査が必要とされる背景

採用後に「履歴書と実態が異なる」「職務上の不正が発覚した」という事態は、労務トラブルや組織の信用低下につながり得ます。そこで、選考段階で最低限の事実確認を行うことが、合理的なリスク管理として位置付けられます。具体的には、卒業証明・資格証明の確認、前職在籍の有無、反社・法令違反の有無などです。

さらに、評価面の補完としてリファレンスチェックを併用すれば、面接だけでは見えにくい「実務での行動特性」も把握しやすくなります。ただし、調査は必要最小限であること、調査の目的と範囲を事前に説明することが前提です。公的な「公正採用」の考え方とも整合させることで、実務上の納得感が得られるでしょう。

※参照元:厚生労働省「公正採用選考 特設サイト」

身辺調査は違法?法律・判例・ガイドラインから見る境界線

個人情報保護法・職業安定法のポイント

個人情報保護法は、個人情報の適正な取扱いを求めています。特に「要配慮個人情報」(例:病歴・犯罪の経歴・信条など)は、原則として本人同意が必要で、第三者提供も厳格に制限されます。公開SNSで見えた情報であっても、要配慮情報の取得には同意が求められる取扱いが示されています。

加えて、職業安定法および関連指針では、社会的差別につながるおそれのある個人情報等の収集は原則として認められないと明示されます。募集・選考に関わる者は、目的の明確化必要な範囲の原則を守ることが重要です。

※参照元:個人情報保護委員会「ガイドライン(通則編)」

厚労省「公正な採用選考」指針の解説

厚生労働省は「応募者の適性・能力に基づく採用」を基本とし、本籍地・家族・思想信条など適性・能力に関係のない事項を採用基準にしないことを明確にしています。応募書類や面接で、当該事項を質問・把握しないことも重要です。

サイト内では「本人に責任のない事項」「本来自由であるべき事項」「採用選考方法に関する事項」の考え方が整理され、身元調査の実施が就職差別につながるおそれがある点にも触れられています。人事担当者は、社内の応募書式や面接項目がこの指針と矛盾していないか点検することをおすすめします。

※参照元:厚生労働省「公正な採用選考の基本」

違法になった裁判例・トラブル事例紹介

具体判例名の羅列は避けますが、実務では前職への無断照会過度な私生活調査が名誉毀損・プライバシー侵害の主張につながった紛争例が知られています。一般論として、本人同意なく第三者から情報を取得する行為や、職務関連性を欠く調査はリスクが高いと考えられます。

会社側は、取得する情報の必要性・正確性・入手経路を明確化し、手続(同意・通知)を整備することで紛争予防につながります。内定後の取消しも、合理的理由を欠けば「解雇権濫用」に該当し得るため、結果の扱いにも注意が必要です。

※参照元:厚生労働省「採用内定者への対応(内定取消し)」

合法的にできる調査の具体的方法

学歴・職歴・資格の確認手段

学歴・資格は、卒業証明書・合格証明書・免許証の写しなど、候補者本人が提示する一次資料で確認するのが基本です。職歴は、在籍証明書や雇用契約書の写し等で裏付けが得られる場合があります。第三者照会を行う場合は、文書で同意を得て、照会範囲・目的・利用先を候補者に説明することが望ましいでしょう。

照会質問は職務関連性に限定し、思想・信条などの要配慮情報に踏み込まないよう明示します。照会先にも、回答は事実関係の範囲に限られる点を伝えるとトラブル抑止につながります。これらの手順により、必要最小限・透明性の高い確認が可能になります。

※参照元:厚生労働省「公正採用選考 特設サイト」

退職証明書・推薦状の活用

退職証明書は、労働基準法第22条に根拠があり、労働者が請求した場合、使用者は遅滞なく交付する義務があるとされています。退職理由が解雇の場合はその理由記載も対象で、前職への無断照会を避けつつ、在籍・退職事実を確認する手がかりになります。

依頼の実務では、候補者に「提出可否」を確認し、可能であれば退職日・在籍期間・職務内容などの記載を求めます。推薦状は、候補者が自ら取得する第三者評価の一種で、人物面の補足として活用できます。いずれも、同意に基づく取得であり、個人情報保護とバランスした手段といえるでしょう。

※参照元:e-Gov「労働基準法(第22条)」

SNSチェックやネット検索の注意点

SNSや検索で得られる情報は、信憑性・文脈の検証が難しいという特徴があります。特に、宗教・病歴・犯罪被害歴などの「要配慮個人情報」を本人同意なく取得することは、原則として不適切と解されます。公開情報の閲覧であっても、要配慮情報の取得・第三者提供には同意が必要と整理される点に注意が必要です。

実施する場合は、①事前同意の取得、②評価基準の明確化、③職務関連性の説明、④結果記録の限定公開保存期間の設定を徹底するとよいでしょう。情報の真偽確認が難しい場合は、追加の事実確認本人への照会で補うことが有効です。

※参照元:個人情報保護委員会「ガイドライン(通則編)」山梨労働局資料(要配慮個人情報)

前職に「無断で」問い合わせるのは避けるべきか

前職への問い合わせは、名誉・信用・プライバシーに関わるため、本人同意のない連絡はトラブルの原因になりやすいと考えられます。退職証明書の活用同意書に基づく限定的照会など、リスクの低い手順を優先することをおすすめします。内定取消しに結びつける場合は、合理的理由手続の相当性が重要であり、解雇権濫用に該当しない運用が求められます。

※参照元:厚生労働省「採用内定者への対応(内定取消し)」

バックグラウンドチェックの調査会社への依頼もおすすめ

自社で行う際の法的リスクが気になるのであれば、外部に依頼することも選択肢の一つです。長年のノウハウが有るため、採用の際にどのように組み込み、また違法性が無いようにどう進めるべきかを適切に管理し進めてくれます。

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